奇数の運命
都内でBBQをした帰り、僕は終電を逃したため友達の家に泊まることになっていた。みんなの家はBBQ会場からすぐ近くだったので、電車を使わずみんなで自転車や徒歩で帰った。これは、その帰り道の話。
僕は、自転車を持っていなかったから、女の子の自転車の後ろに2ケツしていた。歩きの2人を残して、3人で自転車で帰る道。女の子の1人がこう言った。
「私さ、こうやって5人とかで遊ぶと、一人ぼっちになっちゃうんだよね。みんな男女で2人同士で話して、私だけ取り残される。そういうの慣れてるんだけどさ。」
彼女は一人孤独になることを悩んでいた。霧雨が降る冷たい夜は、彼女の心を大きくさせていた。彼女は遊びに誘ってくれるのは嬉しいから、喜んで遊びに行くのだろう。そして、その中で誰かが話しかけてくれることを期待している。しかし、その期待は、儚い夢として終わる。何度も裏切られた彼女の心は、ひどく傷んでいたのかもしれない。
暗い夜道でそんなことを話しながら、彼女の家の前までついた。そこで、残りの2人待ちながら、このあと僕の泊まる友達の家に遊びに行くか話していた。このときも、彼女はまた孤独になるのではないかと悲しんでいた。
あとから歩いてきた2人が合流し、再びこのあとのことを話し合った。彼女は迷っていた。その時、ある子がこういった。
「私達は泊まるけど、行きたいなら来ればいいし、行きたくないなら来なければいいじゃん。自分の好きにしなよ。私は別にあなたが来ても来なくてもどっちでもいいよ。」
この言葉が繊細になっていた彼女の心を傷つけた。来てほしいと言ってほしかった。あなたが必要と言ってほしかった。
この言葉を発した子は、あとから歩いてきた来たから、悩んでいたことを知らないし、悪気があって言ったわけではない。
その後、悩みを知っている僕らが友達の家に来るように言った。彼女の傷が深くならないように。