The mirror in my mind

自分の心を映し出す鏡

星と太陽

f:id:KLazy:20200926020909j:image

 

 昨日自分だけの宇宙を買った。これで昼でも星を見ていられる。

 

 最近なんだか星に取り憑かれている。何も思わずずっと星を見ていたい。そして色んな星座を見つけて、物語を感じていたい。そう思ってこのプラネタリウムを買った。

 写真のように部屋の豆電球をつけて星空を投影するのが面白い。豆電球がまるで太陽のように見えるから。自分だけの宇宙は太陽と星が共存している。

 

 こんな夜空を見ながら、俺はビールを飲んだ。別に酒は好きじゃないけど、アルコールが欲しかったから。孤独を忘れたくて、いや、孤独をより強く感じたくて、ビールを一気に流し込んだ。

 アルコールはある過去の記憶を思い出させた。頭を打って脳震盪を起こした時に、記憶を失った時の話。記憶はないけど、意識はあって当時の彼女に連れられて、歩いていたらしい。そして俺は皮の椅子に座ったあと、我に返った。なぜか分からないけど、すごく泣いた。今まで人前で泣いたことはなかったのに。

 今思うとその涙は、今まで一人で抱え込んできた悩みが無意識の中で溢れ出てしまったのかもしれない。俺は小学生の頃から親と不仲で、色んな悩みを誰にも相談できなかったから。

 

 他にも色んな記憶を頭で巡らせながら、俺は立ち上がって台所に向かった。いつも煙草を吸う場所。星が輝く幻想的な雰囲気を壊したくなかったから、電気はつけずに煙草に火を点けた。

 暗い場所で吸う煙草も、それは神秘的だった。先端で輝く赤い葉は、まるで大気圏に突入する隕石のようで黒と赤が混ざった色をしていた。二つの指で挟まれた小さな隕石は、どんどん指に近づいていく。そして自分の身体の一部になる。肺を痛める汚物として。

 

 頭が痛くなっても、煙草を求めてしまう。心に開いた穴を埋めてくれると信じている。でもそれは骨折した場所に絆創膏を貼るようなものだ。何本吸ったって、治りはしない。