夢現
昼寝をしていた午後4時、夢か現実かわからないが、部屋のベッドの上でぼんやりと目を覚ました。
そこはやけに静かだった。いつも静かな場所ではあるが、台所の換気扇であったり、何かしらの騒音はある。しかし、その時だけは何の音も聞こえなかった。
無音の世界は、恐怖や悲しみもなければ喜びもなかった。感情すら無にさせてくれた。あの場所は、悩み込んでいた孤独から自分を解放してくれた。
今切実に無音の世界に戻りたいと思っている。何も感じない世界。感情はなかったから美しいとも思わないが、それでもいい。
また今度あの世界へ行くためには、代償として己の「生」を差し出さなければならないだろう。
無になることは、案外悪くなかった。